現在は電子工作でFM音源を扱う場合は、mbedやFPGAでエミュレートして再現したものや、YMF825BoardのようなSPI接続で簡単に扱えるものまでありますが、YAMAHAのFM音源ICについて性能ではなく、電子工作での扱いやすさの観点から評価しました。
扱いやすい順で書いていきます。
YM2413 (OPLL)
2オペレータ、モノラル出力。
9チャンネル同時発音、もしくは6チャンネル+リズム音源5チャンネル同時発音。
18pinのDIPでDACも内蔵されているため、小さく配線も少なくて済み手軽に扱える。
1音色しかエディトできないが、初めから他に15音色が内蔵されている。
この自由度の低さから普通に使う分にはあまり評価されないが、複雑なパラメータを設定しなくてもすぐに手軽に音が出せる。
FM音源の中では圧倒的に手軽に音が出せるので、ついYM2413ばかりで遊んでしまう。
YM3438 (OPN2C)
YM2612のCMOS版
機能やレジスタ構成は全く同じ。
リファレンス周波数がYM2612が入手性の悪い7.6MHzに対して、YM3438は8MHzなので入手しやすい
4オペレータ、同時発音数6音ステレオ。
リズム音源は無い。
1チャンネルをDACとして使用可能。
YM2612 (OPN2)
機能的にはYM3438と全く同じ。
上記、リファレンス周波数の入手性の点でこちらを使うならYM3438を選んでしまう。
8MHzにすると微妙に音程がかわるが使えることは使える。(YM2151のケースと同じ)
YMF288-M (OPN3-L)
4オペレータ・同時発音数6音ステレオのFM音源部、およびSSG3音モノラル、リズム音源を内蔵している。
YM260BからADPCMが削除されている音源だが、ADPCMが必要なければSSGの各チャンネルとFM音源がミキシングされてI2Sで出力されるため、扱いがかなり楽。
28ピンのSOPパッケージ
DACは別に必要だがI2S接続なので、汎用DACに接続できる。
DACとアンプが搭載されたDAC基板にそのまま接続できるので、場合によってはOPN2より手軽に音を出すことができる。
YMF288-SはQFP44パッケージなので、YMF288-Mの方が良い。
YM2151 (OPM)
4オペレータ、同時発音数8音
24ピンのDIPパッケージだが、別にDAC(YM3012)が必要なため、ちょっと面倒。
リファレンス周波数は3.58MHzだが、電子工作では入手性の問題や、X68000に倣って4MHzで扱うことが多い。
ネット上に電子工作での話題が一番多いので情報は入手しやすい。
YM2203 (OPN)
4オペレータ・同時発音数3音モノラルのFM音源部、およびSSG3音モノラル。
40ピンのDIPパッケージ
電子工作では使わないであろうI/Oポートは実際に配線することはおそらくないため、実際はピン数の割には扱いやすい
FM音源はDAC(YM3014)を通して出力し、さらにSSGは各チャンネル別々に出力されるので、それをミキシングする回路を作る必要もあるため、面倒。
YM2608 (OPNA)
4オペレータ・同時発音数6音ステレオのFM音源部、およびSSG3音モノラル、更にADPCM音源を1チャンネルと、リズム音源を内蔵。
YM2203の上位互換
64ピンSDIPパッケージ
ピン数が多い上、2.54mmでもなく1.27mmでもないSDIPパッケージのため、この時点で扱いにくい。
FM音源はDAC(YM3016)を通して出力。
SSGは各チャンネルがミキシングされる点でYM2203より楽だが、FM音源とSSGは別々に出力されるので、結局ミキシングする回路を作る必要はある。
FM音源目的でYM2203やYM2608を使うくらいならYMF288-Mが良い。
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